キッチンの高さはどれくらい?調整するメリットや基準・方法を紹介

キッチンの高さはどれくらい?調整するメリットや基準・方法を紹介

キッチンの高さはどれくらい?調整するメリットや基準・方法を紹介

キッチンでは、作業のほとんどが立って行われます。

頻繁に行う作業である調理や食器洗いなどの際、腕が疲れやすかったり腰が腰が痛くなったりすることはありませんか?それはキッチンの高さが合っていないのかもしれません。

この記事では、キッチンの高さ調整のメリットや高さを考えるときの基準、実際の高さ調整の方法や、検討の際の注意点を紹介します。

キッチン以外にも、高さが関係する見落としがちな箇所についても紹介するため、リフォームや新築の際の参考にしてください。

キッチンの高さとは

キッチンの高さとは

一般的に「キッチンの高さ」といえば、調理の際に作業を行う場所である『ワークトップ』の高さを指します。

別名『キッチンカウンター』や『天板』とも呼ばれる、キッチンの顔のようなものです。

ワークトップの高さについては日本工業規格(JIS)において80cm・85cm・90cm・95cmと定められ、市販のシステムキッチンも同様の5cm刻みで展開されています。

85cmの高さのものが一般的に選ばれていますが「選ぶ人が多く標準的」という理由で85cmに決めてしまうと、使いづらさを感じて後悔するかもしれません。

キッチンの高さは使う人に合わせて考えないと身体の不調を引き起こすこともあるため、設置の際はしっかり検討しましょう。

キッチンの高さを調整するメリット

キッチンの高さを調整するメリット

キッチンの天板の高さをしっかりと検討することは、使いやすさに直結する条件といわれています。

キッチンの高さを調整することに、どのようなメリットがあるのかを紹介します。

身体への負担軽減

洗い物や調理の際に身体に余計な負担をかけないためには、使う人に高さが合っているキッチンであることが重要です。

キッチンが高すぎると必要以上に腕を上げて作業をすることになるため、肩こりや筋肉痛の原因となり、低すぎる場合は作業中に腰がかがみ気味になり、腰に負担がかかります。

日本人が1日にキッチンに立つ平均時間は約2時間強といわれています。

そのような長い時間の作業でも疲れにくく使いやすいキッチンにするためには、使う人に合わせた高さ調整を行いましょう。

作業効率アップ

キッチンの高さが合っているとストレスなく作業できるため、効率よく調理が進められます。

調理は、鍋やザルを振ったり包丁を使ったりと、意外と力が必要で身体を動かす場面が多い作業です。

キッチンが高めの場合、フライパンが上手く振れない、体重が乗せられないためかぼちゃのような硬いものが切りづらいなど、効率だけでなく作業が危険なものになる場合があります。

調理の効率をアップして安全な作業にするには、キッチンが高すぎないよう調整することが必要です。

水はねへの影響

キッチンが低いと水はねが起こる位置も低くなり、お腹あたりが濡れやすくなります

服が濡れてしまうと洗濯の量も増え、キッチンを使用するたびに毎日そのようなことが起こるのは相当なストレスです。

キッチンを使用するたびにあちこちが濡れて不快な思いをしないよう、水はねの影響がない高さを検討しましょう。

キッチンの高さが使う人に合っていると、水はねによるエプロンや衣服の汚れを気にせずに済みます。

高すぎると圧迫感がある

アイランド型やペニンシュラ型などの対面キッチンの場合、高めに設定すると圧迫感があり部屋を狭く感じる場合があります。

壁付けキッチンの場合は高めにしても圧迫感を感じにくいですが、キッチンを挟んで人が向かい合うため、高めにすることで存在感が強くなります。

たった5cmでも目線の範囲はだいぶ変わるため、キッチンのレイアウトによっても高さを検討する必要があるでしょう。

周辺機器と収納との干渉

キッチンは周辺機器の可動域やサイズ・向きなどを間違えると、お互いに干渉しあって操作や設置に問題が起こる場合があります。

例えば大きい吊戸棚とその下に水切り棚を設置した場合、キッチンが高めだと水栓のハンドル操作に影響が出る場合があるため、どちらかを優先しなければいけません。

他にも、キッチンが低い場合はビルトイン食洗器が設置できない場合も考えられます。

キッチンの高さは使いたい周辺機器の仕様も考慮して決めることが大切です。

キッチンの高さを考える基準

キッチンの高さを考える基準

ここでは、キッチンの高さを考えるときに基準にすることを紹介します。ポイントを押さえて、より使いやすいキッチンに近づけましょう。

迷ったら一番長く使う人の身長で考える

キッチンの高さを考えるときには、身長から計算する方法がよく知られています。

計算式は「身長(cm)÷2+5cm」です。身長の半分に5cmを足すと出る数字から、適したキッチンを探します。

この式に当てはめた場合の計算結果と、適したキッチンの高さの目安は以下の通りです。

身長(cm)計算結果キッチンの高さの目安(cm)
15582.580~85
1608585
1709090
1809595

高齢の人は前かがみになりやすく、身長から割り出した場合は高く感じて使いづらいかもしれません。

実際の検討の際はショールームで実物を確認すると間違いがないですが、家で高さをシミュレーションすることも可能です。

  • 現在のワークトップに本やまな板を重ねて今のキッチンより高く調節
  • ダイニングテーブルに台などを置いて今のキッチンより低く調節
  • 2~3cm程度ならスリッパやマットで調節

また、以下にも紹介する通り、身長だけでなく他の判断材料も含めて検討することをおすすめします。

肘の高さで考える

キッチンの高さは身長から割り出すのが一般的ですが、実際に使ってみたら低い気がする場合があります。そのため、肘の高さも考慮しましょう。

キッチンで食材を切ったりフライパンを振ったりする場合、肘を曲げて行うことが多いことから、肘を基準にする考え方が最近注目されています。

肘の高さから割り出す計算は「肘高(ひじだか)-10cm」です。肘高は、肘を90度に曲げたときの床からの高さです。

肘高より10~15cm程度低いキッチンが使いやすいとされています。

ワークトップ以外の高さも考える

キッチンでは、ワークトップ以外にも高さをきちんと考えた方がいい箇所があります。

シンク

シンクの高さは、シンクの縁の高さと、シンクの深さの2つのポイントを確認しましょう。

シンク周縁部が高いと洗い物をしている手が肘より高くなってしまい、水が肘を伝ってきて濡れてしまいます。

また、シンクが深めだと大きなものを洗うのに便利ですが、洗い物をする際に前かがみになるため腰に負担がかかり、かといって浅すぎると水はねによりエプロンや床が汚れやすくなります。

シンクの深さの一般的な平均は17~20cm程度です。シンク前にまっすぐ立ってシンクに腕を下ろしたときに指が届く程度が理想です。

コンロ

コンロはレンジフードとの距離や、ガスコンロとビルトインタイプなど、それぞれケースに合わせて調整をします。

ビルドインタイプはワークトップとフラットでキッチンの高さには影響がありません。

テーブルタイプのガスコンロは高さが22cm程度のものがほとんどですが、五徳の分少し高くなる場合があるため、置く場所はそれを含めた分低い方が使いやすいです。

コンロの高さは、高めの場合は鍋に深さがあると中が覗けなかったり、重い場合に上げ下ろしが大変だったりします。

低めの場合は、レンジフードとの間を既定の距離以上離してはいけないという決まりがあります。

コンロは火を扱うため、高さ調節が上手くいかないと作業場が危険な場合があるため気をつけましょう。

吊戸棚

吊戸棚は高すぎると手が届かなくてデッドスペース化することも少なくないため、せめて収納物が視線内に収まる位置に設置できるとよいでしょう。

楽な姿勢で手が届く高さは「身長×1.2」の位置とされています。

吊戸棚は以下の4種類の高さのものがどこのメーカーでも大体用意されています。

  • ショートタイプ……50cm
  • セミミドルタイプ……60cm
  • ミドルタイプ……70cm
  • ロングタイプ……90cm

踏み台を使わないと届かないところへ収納する場合、重いものは危ないため軽いものに留めましょう。

中の棚を手の届く高さに下ろせるダウンウォールなどを取り入れると有効活用できます。

水栓

キッチンの水栓はデザイン性の高いものや多機能型など多様化が進んでいるため、特に高さ確認が必要です。

  • ハンドルやパイプ部分の高さと水切り棚とのバランス
  • 吐水口からシンクまで高さがある場合の水はねの影響
  • 大物の鍋を洗う際に蛇口が低くて邪魔にならないか
  • 食洗器を取り付ける際の分岐水栓の向き

キッチンの高さが合っていても水栓の高さで作業効率が下がる場合もあるため、しっかりチェックしましょう。

レンジフード

レンジフードは、下端をコンロから80cm以上離して100cm以上は離さずに取り付けるという消防法による決まりがあるため、ワークトップの高さも無関係ではありません。

また、レンジフードには深型や浅型など高さに種類があり、つけるタイプによってはコンロとの距離にも影響を及ぼします。

調理の度に頭をぶつけるという失敗談もよく聞くため、レンジフードの高さもワークトップの高さとともによく検討が必要です。

キッチンの高さ調整の方法

キッチンの高さ調整の方法

キッチンを微調整するには以下に紹介するいくつかの方法があります。

システムキッチンで使う人に合うサイズがない場合の調整方法について紹介します。

オーダーメイドならキッチンの床高を調整できる

オーダーメイドキッチンの場合は床高を希望の高さに調整することで、快適な作業環境が確保できます。

リビングとの床とキッチンの床の高さに差が生じるため、小さい子どもがいる場合は若干注意が必要です。

キッチン下の台輪を調整する

規格サイズのキッチンを低くしたい場合、希望より高さのあるキッチンを利用し、台輪(だいわ)をカットすることで調整が可能です。

台輪はキッチンの一番下にある高さ10cmほどの横木で、床からくる汚れや湿気・掃除機の衝撃などから本体を守る役割がある部分です。

微調整はできますが、あまり低くし過ぎると扉が床に擦れたり、保証の対象外になる可能性があります。

造作キッチンなら高さ設定は自由自在

造作キッチンは工務店や住宅施工会社が住宅工事と併せて作るため、1mm単位での高さ調整が可能です。

使う人にとって自分だけの高さを追い求めることができますが、その場で作り上げる一点ものであるため、完成するまで実際の使い勝手やイメージが確認できないデメリットもあります。

コストも工期もかかりがちですが、こだわりのキッチンを造るにはおすすめです。

リフォームでの高さ調整

リフォームのタイミングであれば、既存のシステムキッチンを取り外してかさ上げして高くしたり、台輪をカットして低くしたりすることで微調整できます。

例えばシンクが低い、コンロだけ五徳のせいで高い場合など、そこだけ使う人に合ったものに交換するピンポイントな対応がリフォームなら可能です。

キッチンの寿命は10~20年といわれているため、古いキッチンなら新しいキッチンに交換するのももちろんおすすめです。

キッチンの高さを決める際の注意点

キッチンの高さを決める際の注意点

キッチンの高さを決める際の注意点は以下の通りです。

  • ショールームの見学にはスリッパを持っていく
  • 高めにしておけばスリッパなどで調整できる

ショールームを見学する際は、普段使用しているスリッパを持参して来店しましょう。マットを敷いている場合は厚みを考慮に入れて高さをチェックします。

また、どうしても気持ち数cmのところで高さを決めかねる場合は、少し高めをおすすめします。

キッチンが低い場合に自分を低くすることはできないため、腰への負担が心配ですが、スリッパやマットを変えてみるなど、キッチンが高い分には自分で調整できる場合があります。

使用する人に合ったキッチンの高さと、実際のキッチンの高さとの誤差をなるべく小さく留めるために、以上の2つに注意してじっくり検討しましょう。

まとめ

キッチンの高さは作業効率や身体への負担など、さまざまな面から考えて慎重に検討する必要があります。

毎日多くの時間を過ごすキッチンだからこそ、高さをはじめとした細部にこだわって、快適な場所にすることが大切です。

希望の高さにぴったり叶うキッチンが見つからない場合、床の高さ調整や配管工事も行える業者であれば、1歩進んだ方法が可能です。

ワイズキッチンファクトリーは、オーダーキッチンメーカーでありながら建設業許可も取得しているため、お客様の理想的な高さやご希望に合わせたキッチンをご用意できます。

横浜・東京でオーダーキッチンをお考えの方は、ワイズキッチンファクトリーに一度ご相談ください。

ショールームもご覧いただけます。ぜひお問い合わせください。