キッチンの間取りとレイアウトの特徴や選び方・施工例など詳しく紹介
日本人は1日平均2時間強はキッチンに立つといわれていますが、ただ立っているだけではなく、キッチン内をせわしなく移動して作業するため、使いやすさが求められます。
キッチンの間取りやレイアウトの違いは、限りある自分の時間や家族とのコミュニケーションにも影響し、心地よさを生むための要といえるでしょう。
この記事では、動きやすく使いやすいキッチンの間取りの考え方、レイアウトの種類について、ライフスタイルで選ぶキッチンレイアウトのアイデアを紹介します。
具体的な施工例も紹介するため、リフォームや新築の際の参考にしてください。
キッチンの間取りは3種類
キッチンの基本的な間取りは3種類ありますが、どの程度の広さを確保できるか、キッチンでどのように過ごしたいかなど、さまざまな条件で選択が変わります。
キッチンの間取りは、以下の3種類です。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
クローズド キッチン | においや汚れが他の部屋に広がらない 集中して調理できる 来客に見られる心配がない | 家族の顔が見えず寂しさを感じることがある 配膳・片付けなどで運ぶのが手間 窓がない場合、手元が暗い |
オープン キッチン | リビングとのコミュニケーションが取れる 数人でも使用できる 解放感がある 配膳や片付けがしやすい | においや汚れがリビングに広がりやすい 来客などの人目につきやすい 調理中の手元が丸見え |
セミオープン キッチン | リビングとのコミュニケーションが取れる 目隠し対策がしやすい 収納スペースを確保しやすい | においや汚れがリビングに影響する |
クローズドキッチンは壁でリビングと仕切られていているため、来客などの人目が気になりませんが、他の間取りからリフォームする場合は設置面積が広めに必要です。
オープンキッチンはリビングにキッチンを設置するため、リビングとの間を仕切らない解放感があり、小さい子どもを見守りながら作業できるため、子育て世代には助かる間取りです。
セミオープンキッチンは、オープンキッチンの解放感とクローズドキッチンの独立性の両方を併せ持つキッチンで、部分的な仕切りや室内窓などを設置して、おしゃれな空間に演出しやすいというデザイン性の高さが特徴です。
この3種類から、確保できる予算や面積など条件に合わせて希望の間取りを選択してから、キッチンのレイアウトを選びます。
キッチンレイアウトの基本6パターンと施工例
キッチンのレイアウト(配置)には、代表的な6種類があります。
それぞれのレイアウトの特徴について、施工例と共に紹介します。
I型キッチン
https://yskitchen.co.jp/blog/news149-utukusiihowaitokittin.html
日本でよく見かけるタイプであるI型キッチンは、壁付けにすると限られた間取りを有効に使えます。
オープンキッチンに設置すると解放感がありながらも壁に向いて作業するため集中でき、一般的には振り向いた場所にダイニングテーブルがあるため、配膳や片付けもスムーズです。
リビングやダイニングからキッチンが丸見えになるため、視線が気になる場合は注意が必要ですが、キッチンカウンターを設置すると目隠しになり収納も確保できます。
施工例はワークトップ一体型のシンクに人工大理石を採用しているためつなぎ目がなく、黒カビの心配がない美しいフレンチスタイルの白いキッチンです。
定番のI型ですが、ビルトインにはドイツ製Miele(ミーレ)の容量十分な食洗器と、電子レンジ機能付きオーブンがピッタリと収まって出番を待っています。
Ⅱ型キッチン
https://yskitchen.co.jp/blog/news174-kittinrinobe-shon.html
https://yskitchen.co.jp/blog/kitchen_reform_stage.html
2列で構成されたⅡ型キッチンは、コンロとシンクが別々になっているため、セパレート型とも呼ばれます。
原則としてどちらかが壁付け、もう片方が対面式になっています。
I型に比べて収納が多く確保でき、それぞれに広く作業スペースがとれます。
施工例は、オフィスの空いているフロアを社員さんやそのご家族が楽しんで使えるようリノベーションしたもので、壁付けにガス5口と、対面式(ペニンシュラ型)の方にIHを配置しています。
食洗器も電子オーブンも完備した、複数人で料理ができる高性能なシェアキッチンです。
L型キッチン
https://yskitchen.co.jp/blog/news142kittin-koukyuukagu.html
L型キッチンは、2面とも壁に付けて広さを確保するか、一部を壁付けにすることで対面にするかなどの選択が魅力の、動線がスムーズなレイアウトです。
十分なスペースが確保できるため、複数人で調理してもすれ違いなどがスムーズにできます。
角にデッドスペースが生じやすいため、工夫が必要です。
施工例はそのデッドスペースが生じやすい角部分にIHヒーターを設置していますが、全体的に家具のような誂えのキッチンのため、まるでコーナーボードのような存在感です。
木目がはっきりと現れたアルダー材を自然塗料で仕上げ、キッチンは家具だとするヨーロッパの考えに忠実なオーダーメイドキッチンです。
U型キッチン
https://yskitchen.co.jp/blog/news166-akaruikittin.html
U型キッチンは、冷蔵庫・コンロ・シンク・作業台がU字に配置され、L字同様シンクとコンロが90度の位置のため作業動線が短く動きやすい点がポイントです。
コの字型キッチンとも呼ばれ、作業台が広いため料理の品数が多い際の複数人作業に向いています。
施工例は対面部分に造作壁を立てているため、コの字型キッチンがあるように見えず、手元も隠せています。
ナチュラルテイストのリビングなのに、キッチンに回るとクラシックテイストに一変する、対比が楽しいキッチンに仕上がっています。
アイランド型キッチン
https://yskitchen.co.jp/blog/news169-kakkoiikittin.html
アイランド型はその名の通り、コンロもシンクもあるキッチンが壁から離し、島のように配置されたキッチンです。
対面式のためリビングとのコミュニケーションもしやすく、囲むようにして作業できる回遊性があるためホームパーティーや料理教室など、大人数での使用が楽しいレイアウトです。
リビング・ダイニングとの仕切りがないため、油はねや水はね対策を工夫することで、より快適に使えます。
施工例は、アイランドにシンクがあり、コンロのあるキッチンが壁付けでレイアウトされたⅡ型タイプです。
壁付けのため油はねの掃除がしやすく、水栓のグースネックは吐水口が引き出せるため大物の鍋も洗いやすくなっています。
ペニンシュラ型キッチン
https://yskitchen.co.jp/blog/news100.html
ペニンシュラ型は、アイランドキッチンの片方の端が壁についているキッチンで、コンロもシンクもリビングの方を向いています。
対面式の中ではスペースが小さい住宅でも設置しやすく、価格も安めというメリットがあります。
対面式特有の汚れやにおいのリビングへの影響はありますが、壁についている側にコンロを配置し、前に壁を設置することで対策できます。
施工例は背面のカップボードと同じ木目のキッチンに、人工石のカウンターが映えるモダンなペニンシュラです。
カップボードもカウンターキッチンも、木目を切らずにつながったまま使われているところに、オーダーメイドの強みが現れています。
使いやすいキッチンの間取りとレイアウト
キッチンを検討する際は、作業中の動線を考えることが重要です。
キッチンには6種類のレイアウトがありますが、どのレイアウトでキッチンを設置するかによって、使う人にとっての作業効率が変わります。
使いやすいキッチンの間取りとレイアウトの考え方について紹介します。
調理のための流れ
使いやすいキッチンの動線を考える際は、いつもどのような流れで調理をしているのかを思い出してみましょう。
一般的な調理中の動きは以下のとおりです。
- 冷蔵庫……食材を取り出す
- シンク……食材を洗う
- 作業台……食材を切る
- コンロ……鍋で加熱調理
- 食器棚……食器を用意し料理を盛り付け
- 食卓……料理を運ぶ
また、食事が終わった後の片付けの際は以下のような流れが一般的です。
- 食卓……使用した食器を下げる
- シンク……食器を運んで洗う
- 作業台……洗い終わった食器を乾燥・拭く
- 食器棚……食器をしまう
この動きがスムーズに流れるように、キッチンのレイアウトを考える必要があります。
ワークトライアングル
レイアウトを考えるうえで重要な基準である『ワークトライアングル』が正三角形に近いほど、キッチンの作業効率が上がるとされています。
ワークトライアングルとは、コンロ・シンク・冷蔵庫を結ぶ三角形の動線のことです。
以下の数字内に収まるようにキッチンをレイアウトすると、バランスのよいワークトライアングルが完成します。
- シンク・コンロ間……120~180cm
- シンク・冷蔵庫間……120~210cm
- コンロ・冷蔵庫間……120~270cm
さらに、この3点の距離の合計を360~660cmに収めるのが理想です。
コンロと冷蔵庫は近くに設置すると冷蔵庫の冷却効果が低下するため、少なくとも30cmは離しましょう。
各レイアウトにおいてワークトライアングルを作る場合の向き・不向きやコツをまとめました。
I型 | シンク・コンロ・冷蔵庫が横一線 ワークトライアングルは作りにくい キッチン幅がコンロ・冷蔵庫間の上限の270cm以上にならないように |
---|---|
Ⅱ型 | 冷蔵庫を横に置く場合はシンク側が望ましい シンクの真後ろにコンロがあると危険であるためずらす |
L字 | ワークトライアングルが作りやすい 冷蔵庫を横に置く場合はシンク側が望ましい |
U字 | ワークトライアングルを考えた設計になっている 広いスペースが必要 |
アイランド・ペニンシュラ | ワークトライアングルが作りやすい 冷蔵庫の位置は背面が理想 |
設置する場所の間取りに合わせられるレイアウトを選ぶ必要があります。
注意事項としては、冷蔵庫とコンロを向かい合わせにすると、冷蔵庫を開けたときにコンロ前が狭くなるため、配置としては避けた方がいいでしょう。
生活の中のキッチンの動線
調理以外でも、キッチンを生活全体に含めた場合に考えたい動線もあります。
以下は、調理以外でキッチンが関係する例です。
- 買い物して帰宅したときの、玄関からキッチンまで
- 買ってきたものをパントリーにしまう
- 料理しながら洗濯やお風呂の用意など、他の家事もする
- 子どもを見守る
以上のような場合に、家全体から見てキッチンをどう配置するのか、キッチンの間取りやレイアウトをどうするのかが関わってきます。
例えば、パントリーはキッチンにも玄関にも近い方が買ってきたものを片付けやすく、調理しながら洗濯やお風呂の用意をするには水まわりはなるべく近くに配置するなどです。
調理だけでなく、暮らしやすさの観点からもキッチンの間取りやレイアウトを選ぶことが大切です。
収納・ゴミ箱やコンセントの位置も大切
収納やゴミ箱の置き場所・コンセントの位置や数など、後になって不便に感じるケースがあります。
食器棚は、食洗器がある場合はその近くにあると片付けが楽です。
キッチンのゴミ箱は使いにくい場所に置くと、捨てにくかったり移動の妨げになったりするため、作業効率が下がります。
また、炊飯器や電子レンジ・オーブントースターなどの家電をどの位置で使用するのか確認し、足りなければコンセントの追加工事が必要です。
これらも日常の動線上にあるものと考え、使う人にとって使いやすい配置を決めましょう。
ライフスタイルで選ぶキッチンレイアウトのアイデア
キッチンは使う人の年代によって移り変わるライフスタイルに合わせて選ぶのが理想です。
ライフスタイルに合わせたキッチンレイアウトのアイデアを紹介します。
単身世帯のキッチン
単身世帯の場合は1人分の食事が用意できればいいため、省スペースで設置できるI型キッチンが適しています。
料理好きの人の場合は、作業効率がいいペニンシュラ型やL型・Ⅱ型などが、ワークトライアングルを意識しているためおすすめです。
来客が多い場合や単身世帯で生活感を抑えたい場合は、目隠しをおしゃれに演出したセミオープンを選ぶと、人を呼ぶのが楽しくなります。
夫婦でキッチンを使う
夫婦二人暮らしの場合のキッチンは、単身に比べ食事量も食器も多く、2人でキッチンに立つことも考えると、収納も確保できるⅡ型やペニンシュラ型がおすすめです。
作業スペースが2ヶ所確保できるため分担できて便利ですが、すれ違いができる通路の確保ができるとなおいいでしょう。
省スペースが希望なら万能のI型もいいですが、家電を置きたい場合は少し長めの幅がいいかもしれません。
子育てとキッチン
子育て期間は20〜40代と長く、子どもの見守りから始まって夫婦の両家族や友人と来客が増えるなど、キッチンにさまざまな機能を求めるため、ペニンシュラ型・L型・Ⅱ型などが使いやすいでしょう。
共働きが少なくないこの世代は育児以外にも忙しいため、汚れが目立たず落としやすいなど、手入れがしやすい素材を選ぶことも重要です。
対面式なら、片付けが不十分でも丸見えにならず、子どもにも目が届いて安心です。
シニアに優しいキッチン
シニア世代の方も快適に使いやすいキッチンとしては、身体能力を補えるI型やペニンシュラ型・L型など、移動距離が増えないタイプのキッチンがおすすめです。
動線が長くならず、お手入れを負担に感じないというコンパクトさを意識しましょう。
他にも、視力や身体の変化に対応できるよう、作業中の手元を明るくしたり、ワークトップを少し低めにしたりすると、より使いやすいキッチンになります。
まとめ
キッチンの間取りやレイアウトは、家の事情やライフスタイル・どのように使いたいかをよく検討することで選ぶと、作業効率の良い使いやすいキッチンになります。
間取りやキッチンレイアウトには一般的な種類がありますが、それだけをもとに検討しても希望を叶えられない場合があります。
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